プロダクトデザインが医療機器の治療効果にも影響する!?

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プロダクトデザインの案件に限らず、グラフィックデザインも含め、デザイン全般に言えることですが、弊社にデザインをご依頼いただくお客様の多くが、デザインという行為の意味に誤解を持たれています。
そこで、今回は少しだけプロダクトデザインの話をしたいと思います。

プロダクトデザインが医療機器の治療効果にも影響する!?

プロダクトデザインが医療機器の治療効果にも影響する!?

あ、ちなみに上の画像は適当なフリーのイメージです。(弊社でデザインしたものではありません)

実は、プロダクトデザインをご依頼いただくお客様の多くが、「簡単でいいですから~」や「サラササラ~と」、「外車の〇〇〇のよううな丸みのある感じで、あとは適当に~」のようなことを仰って、他にはほとんど指示がありません。
まず、ご依頼頂く際の第一段階が、このような ご要望・情報提供です。

そこから、私が根掘り葉掘りヒアリングすることで、様々な情報を引き出していくわけですが・・・

多くのお客様が、イケてる外観形状を描き出すこと、所謂 スタイリングのことをデザインだと想われているようですね。

確かに、最終的には形状や材質や表面処理やカラーリンクなどで何かしらを表現するので、端的に言えばそれも間違えではありません。
ただ、それをデザイナーの趣味・嗜好やセンスとやらで、カッコ良い形や 美しい形や スマートな形を スタイリングしてくれるものだと思われているお客様が多いので、その点は非常に惜しいことだと感じています。

じゃ、デザインとは?プロダクトデザインとは?何なんですか?? 何をしてくれるんですか? どうやってデザインを進めるのですか?
と問われると、一概にお答えできないところが、現代におけるデザインの課題とも言えますね。

プロダクトデザインとは、インダストリアルデザイン(工業デザイン)と並んで、主に製品のデザインという意味で使われる用語です。
ただ、その受け持つ範囲や役割としては一概ではなく、企業により活用方法も大きく違います。

デザインが経営資源として活用され、最も貢献出来ている例

一番、大きくデザインが貢献できている例としてはアップル社に代表されるような、経営資源としてデザインを捉え、経営手段としてデザインを活用するというパターンです。
最高経営責任者の直下にデザイン部門を位置づけ、企業の存在価値や存在意義を社内外に伝達して、その一貫したコンセプトを体現すべく、製品のあるべき姿を表現することが デザインの大きな役割となっています。
デザインを戦略的に活用し、デザインを武器とするために、企業のトップ自らが重要な経営判断をするからこそ実現できることがたくさんあります。
これは、経営トップに ”そっか~、デザインを経営の武器にできるんだ!?” という気づきがなければ、成り立ちませんので、どこの中小企業でも簡単に成立するということではないかもしれません。

ですが、トップがデザイン出来なければならないという訳ではなく、あくまで デザインを活用できれば良い訳ですから、実は、そんなに難しいことではないんですね。
単に、一歩前に出ようとする気持ちと、覚悟の問題です。
(もし、ご興味があるようでしたら、いくらでもこのようなお話を詳しくいたしますので、お声かけください。)

このように、トップ直下で、経営にデザインを活用するというのが、もっともデザインが貢献できている例ですが、もう少し、下に降りた視点でもデザインを活用することができます。
開発部門を中心に、企画・営業・製造部門にまたがる形でのデザイン導入が、現在、中小企業が初めてデザインを取り入れる際に、とりあえず実施しやすいスケールと言えるかもしれません。

製品開発の上流工程に位置するプロダクトデザインは、企業のアイデンティティや事業コンセプトを継承しつつ、製品コンセプトを新規定義・または再定義することに始まります。
デザインのオーダー時点で、一応には、お客様の中で決まっている製品コンセプトがあるかもしれませんが、その殆どは仕様的なものが多く、本来、製品のあるべき姿の定義という意味でのコンセプトは定まっていない場合も多くあります。

この製品はどのような環境で、どのような方に使用され、どのような目的を果たすべきなのか。
その時、使用者はどんな気持ちなのか、どう感じて欲しいのか、この製品はどうあるべきなのか、どうありたいのか。
そのようなことを考え、コンセプトを策定し、議論していく手法としてデザインが活用されています。

医療機器のプロダクトデザインを行う場合の例

例えば、医療機器などのデザイン開発では、操作をするのが医者や看護師などの医療従事者であったり、その機器を通して実際に治療を受けるのが患者だったりします。
ひとつの機器に、立場の違う2通りのユーザーがいるのです。

医療従事者は最先端の医療技術を用いて、効果的で優良な治療を患者さんに施してあげたい と考えています。そうでありたいし、現在、そうであるという自負も持っているかもしれません。
医療従事者にとっては、そのような自負を助長するような、高機能で最先端の機器を思わせる「先進的なイメージ」を表現するデザインが良いのかもしれません。

もちろん、その中で使いやすさを考慮し、反映することも重要です。たとえば、頻繁に持ち運びするのであれば、取手となる凹部が自然と形状に備わっている等。
また、「先進的なイメージ」というデザインコンセプトは、医療従事者だけではなく、患者にとってもメリットがあるかもしれません。
医師を信頼し、この機械、この治療による治癒効果に期待が持てるかもしれません。そのような期待が持てる機械であるべきと考えるなら、「先進的なイメージ」というのは医療従事者にとっても患者にとってもマッチしているかもしれませんし、そのようなメンタル状態を作り出すことは医学的にも非常に効果的で重要なことかもしれません。

しかし、全く別の見方もできます。
患者だけに注目して考えた場合に、必ずしも、治療に対して前向きでプラスのイメージしか持ち合わせていない とは限りません。
きっと、マイナスの不安な感情を持ち合わせる患者も少なくないことでしょう。
患者は、自身の今後に不安を抱えているかもしれませんし。
この機械でどんなことするんだろう。どんな治療をされるんだろう。痛いのかな・・・、どの位痛いんだろう・・・長いのかな・・・・、どの位で終わるんだろう・・・・、そんな不安が心の中を渦巻いているのかもしれません。
もしそんな精神状態であれば、機能的で先進的なイメージというコンセプトが必ずしも患者にとって良いデザインとはならない場合もあります。
時に、患者が恐怖感を覚えないような、「安心感を受けるイメージ」というデザインコンセプトが必要な場合もあります。
不安を煽らず、安心感を与えるということもデザインの重要な役割です。

このように、「先進的なイメージ」と「安心感を受けるイメージ」という相反する対極のデザインコンセプトが生まれることもあります。
デザインによっては、患者のメンタルに影響を与え、心拍数や血圧の上昇や降下など、身体的な影響も与えます。
そのメンタルの変化が、いつしか、治療効果にも大きく影響してくるかもしれません。

このようなことを、しっかり議論して、この機械はどうあるべきなのか?というコンセプトをしっかり策定していくことが大切ですね。
実は、それを形状や色や質感、操作方法の改善などさまざまな形で表現するのがデザインの役割なんです。

このトピックの一番最初に、そのような表面的なスタイリングを行うことだけがデザインではないと言ったのは そういうことです。

確かに、表現手段の最終形態として、外観などの表面的な部分に至る訳ですが、実は、具体的な形にする前の段階の方が非常に需要な工程なんですね。
それを たたき台となるビジュアルも交えながら、関係者が検討を進められるように様々な提案や議題提議をして「あるべき姿」を具現化していくというのが、デザイナーに課せられた重要な役割なんです。
決して、デザイナーの趣味・嗜好やセンスとやらで、好き勝手に良さげなカタチを描いている訳ではないし、そんなものデザインではない!ということを、お客様にもご理解いただきたいと思います。

ちなみに、この医療機器の例では、医師や看護師などの医療従事者が操作する機械に関しては「先進的なイメージ」をコンセプトに、また、患者の身体に触れるアタッチメント的なパーツに関しては「安心感を受けるイメージ」をコンセプトにする、というように機器ごとにデザインコンセプトを分けることもできます。

アバウトなスタイリングだけじゃモノは作れない。内部構造との整合性に責任を持てるかどうかも重要。

もちろん、プロダクトデザインではそれらのコンセプトを表現するにあたって、かなり大胆なスタイリングを行うこともあります。
しかし、デザイナー自身がその大胆なスタイリングの中に、内部構造が納まるかどうかの責任を持たなければ、きわどいデザイン表現が実現できません。
現代のデザイナーは、ただ、アバウトなイメージを表現して、あとは設計者任せでバトンタッチするのでなく、内部のレイアウトや設計も行える力を持ち、デザインと機構の整合性を自ら責任を持つような職域へと進化していかなければなりません。
まだまだ、それが可能なプロダクトデザイン事務所は全国的にも少ないのですが、少なくとも弊社ではデザインと設計の両方を行うことで、当然のごとく実現(製造)可能なデザインをご提供しています。

デザインに出来ることはまだまだたくさんあります。
今回はまだ、プロダクトデザインを軸としたブランディングについてはお話していません。
決して、ロゴ作って、VI、CI揃えるのがブランディングではありませんからね。
そのようなお話も今後していければと思います。

ということで、今日はこの辺で~

宜しければ弊社Webサイトもご覧くださいね。
プロダクトデザイン事務所 STUDIO dpi http://www.dpi-web.jp

Kazuhiro Ueno

Kazuhiro Ueno

上野 和宏
スタジオディーピーアイ株式会社 代表取締役 / プロダクトデザイナー / クリエイティブディレクター
JIDA(公益社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会) 正会員
福岡県産業デザイン協議会 会員

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