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「売れるデザイン」 的な表現は卒業しました。

「売れるデザイン」卒業しました。

プロダクトデザインにおいて「売れる」ことは通過点。

皆さんこんにちは。プロダクトデザイナーの上野です。

「売れるデザイン」 的なフレーズ

10年20年前はそんなに当たり前ではなかったのですが、最近では当たり前に見かけるようになりました。多くのデザイン事務所のWebサイトでそのようなキャッチコピーが踊っています。

売れるためにデザインするのではない

実は、今回の自社Webサイトの全面リニュアルを機に、私が行うデザインサービスの説明ではこのようなフレーズは使わなくなりました。意識して使わなくなったというよりも、自然とです。

なぜかというと、私がプロダクトデザイナーとして製品をデザインする上では、
“売れるためにデザインするのではない” からです。

では、何のためにデザインするのか?

それは、美しく洗練され、機能的で、便利で、快適な使い心地をユーザーに提供するため。
用途に応じて、時には可愛く、時には頼のもしく、時には安心感を抱かせ、愛着を募らせ、豊かなユーザー体験と共に所有する喜びをも抱かせる。
ユーザーは購入してからの使用体験はもちろんの事、購入前の段階からその時を何度も想像し、もどかしくも楽しい時間に想い耽る。
作り手の想いを製品を通して使い手に届ける。工業的にも商業的にも哲学的にも合理性のある解を見出し、あるべき姿を製品に纏わせる。

これこそが、デザインの目的。 プロダクトデザインの使命だと考えます。
そう、プロダクトデザインは 売れるために デザインするのではないのです。

売れなければならない

ただし、製品は必ず売れなければなりません。売れなければユーザーの手には渡らないし、事業継続も出来ない。だから、売れるための仕組みは重要ですし、その事業戦略にマッチしたデザインである事は非常に重要です。

つまり、”売れるという事は重要だけど、プロダクトデザインにとってはそれが最終目標ではなく通過点に過ぎない”という事です。

売れることが最重要目標となるデザイン分野もある

ちなみに、一般的な話で言えば、売れる事が最重要目標であり最終目標となるデザインもあります。「グラフィックデザイン」や「webデザイン」の分野です。

一部に、取り扱い説明書やリピートにつながるツール等、購入後に影響するデザインもありますが、基本的には売れるところまでがそれらのデザインの最大の見せ場。
だから、Webやグラフィックデザインを主体として企業を支援されているデザイン事務所では「売れるデザイン」というキャッチコピーで支援内容の重要ポイントを表現しているのは、至極真っ当だと思います。

プロダクトデザイン主体だからこそ

但し、弊社においては、プロダクトデザインを基軸にデザインマネジメントを行い、その一環でグラフィックデザインまでも行います(契約内容によりますが)。売れる事は当たり前という仕組みを事業戦略として構築しながらのデザインとなるため、例えグラフィックデザインであっても売れる事を最終目標とするものではありません。一貫したコンセプトでモノをつくり、サービスを提供し、作り手と使い手との良好な関係を構築しながら、その想いをしっかりと購買層へ届ける。弊社におけるグラフィックデザインはそこに重点をおくことになります。

ですから、”売れるデザイン” ということを弊社のセールスポイントとはしていません。それらの事業活動全体の是非によって 結果として「売れる」という状況を生み出します。

もちろん、デザインコンサルティングとして、事業が向上する方へ導くため、その要素として如何に「売れる」か ということはしっかりと考えて、様々なご提案をさせていただきますが、小手先だけの対策はお勧めしません。

表面的に 良さげに見せたり、流行っているように見せたり、今買わなきゃ損であるかのように感じさせたり といった心理的なテクニックをキャッチコピーとヴィジュアルで上手く表現するということも、もちろん出来ます。様々な知識・ノウハウ・スキルも持ち合わせており、それを狙えば、相応の結果を出せます。

ですが、それは私がやるべきことはないと考えています。
弊社の限られた時間と人的リソースをつぎ込むのであれば、弊社にしかできない至高のプロダクトを生み出すことに情熱を注ぎたい。その本物の価値を如何にユーザーへ届けるかということに注力したい。自社プロダクトの事業を始めたこともあり、ここ数年で益々そう考えるようになり、「売れるデザイン」という表現からは卒業することとなりました。

これからも自然体で、そこにある価値を見出し、あるべき姿を纏わせ「愛されるデザイン」を生み出し続けていきます。

結果として、それは「売れます」。

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